糞の山の上ホテル

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【ネタバレ】オザークへようこそ シーズン3まで視聴した感想

Netflixのオリジナルドラマ「オザークへようこそ(原題:Ozark)」をシーズン3まで見たのでその感想を書いてみた。
以下、重大なネタバレが含まれるので視聴予定の人は見てはいけない。





シーズン3の注目ポイントは何といっても、ヘレン、ベンの死だろう。
ダーリーン、ルース、ワイアット、エマ捜査官やカウンセラーのスーなど、色んなキャラが出てくるが、正直いってどうでもいい枝葉のストーリー or シーズン4の布石でしかない。
とりあえずこの二点に絞ってシーズン3を総括してみた。

①ベンの死

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メンヘラ駄キャラ

登場時点から、ベンの存在は脚本家にとっての便利な飛び道具でしかないように感じた。
ヒルビリーという、物語の主軸から離れたところから急に乱入してきたベンはなぜここにきて急に投入されることになったんだろうか?
シーズン3のプロットから考えると、ベンというキャラクターを使って以下のようなシーンを描きたかったのだと思われる。

  1. シーズン2で犯した人殺しの罪を超える、弟殺しをウェンディにやらせたかった。
  2. ルースの恋、そして恋人を失ったことによるバード夫妻への造反への布石
  3. ヘレンとバード夫妻の仲違い→ヘレンの死でシーズンフィナーレを飾る

やはりこうやって書いてみると非常にわざとらしいというか、最初からシーズン3で駒として消費する気満々で登場させているようにしか見えない。ベンが躁鬱病を患っていたというのも、その考えを補強する形となっている。
躁鬱病を患っているのだから、どんな行動をしてもおかしくない。だから、大してつながりもない弁護士のヘレンの家まで押し掛けて秘密をばらし始めてもいいわけだ。プロットを作るうえでこんな都合のよいキャラクターはない。
しかも、最終的なカタルシスを大きくするためか、ベンはわざとヘイトをたまるように滅茶苦茶な行動ばかりするのだ。さらに同情を誘うように、そのたびに鬱状態に入り込んでメソメソとする。うっとおしいねえw
あ~、どうせこいつ最終的に死ぬんだろうな、と思ってたし、予想通り過ぎる結末で笑ってしまった。
このドラマでは、プロフェッショナルである麻薬カルテルと道理の通じないヒルビリーを対比的に描いてきたことを考えると、ある意味では躁鬱病を患った人間というのは後者と同様のカテゴリーに入るのだろう。しかしヒルビリーの面々と比べると、ベンは結末ありきで追加されたとしか思えず、感情移入もできないなんの魅力もないキャラクターだった。
このキャラクターの結末をシーズン最後まで引っ張る必要はあったのだろうか???

ヘレンの死

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弁護士おばさん
とりあえず、最後にだれか殺せばショッキングで面白くなると思ってる?
ヘレンの死の比較対象としては、シーズン1でダーリーンがカミノ・デル・リオ(麻薬カルテルの重要人物)を射殺したシーンだろう。
アメリカの貧困地域に住むヒルビリーと呼ばれる彼ら、その中でも特にイカれたダーリーンとかいうババアは、"redneck"(クズ白人)と侮辱されただけで、顔に散弾銃をぶち込んじゃう。
地元を大切にし、子供のころからの人間関係や受け継いできた伝統ばかりを大切にする彼らは日本のマイルドヤンキーを性質悪くしたような奴らで、バード夫妻やヘレンのような、ロジックや打算で動くビジネスプロフェッショナルとは違う人種だ。
それをハッキリと印象づけるためにもシーズン1の射殺シーンは必要だったわけだし、少なくとも私は衝撃を受けた。正直メチャクチャ笑ってしまった。
しかしシーズン3の最後は完全に余計だったし、予測していた通りだった。天丼かよっていうw。
少なくとも、シーズン3までで得られる情報からではナバロがヘレンを殺すための大きな動機は見つからず、プロットに粗さが目立つのも嫌だった。
仮にシーズン4で説明が後付けされたとしても、正直蛇足感が増すだけで、結局あの最後はショッキングな演出のためだけにやったんだなぁという風に思うしかない。

まとめ

シーズンを通して私が感じたのは、脚本家が、今シーズンでヘレンを殺すつもりで、逆算してシーズン3のプロットを描いたのではないだろうか?
1. ベンという便利な小道具を使ってバード夫妻とヘレンを仲違いさせる。
(なんせわざとらしいくらい自分勝手に滅茶苦茶な行動するのだ。なんでもありだから脚本書くの楽だぜ!)
2. ついでにベンのような不確定要素は用済みなのでサクッと殺して、視聴者のカタルシスを誘うと同時に、弟殺しでエモーショナルな展開も狙ってみる。
3. シーズン3はあんまり動きもなかったから、とりあえず今まで出てきた中で一番重要な人物をぶっ殺しとけば視聴者も驚きで評価爆上げや!
こんな感じ?

ウィットや皮肉に富んだスクリプトもオザークの魅力だったと思っていたが、シーズン2、3では登場人物は終始お互いに怒鳴りあい喧嘩しているシーンばかり。シーズン3では何も進まない。進展のないプロットは正直苦痛だった。
RottenTomatoを見る限り、欧米ではシーズン3が一番好評だったみたいだが、個人的には一番つまらなかったシーズンだった。
家庭内の誰かが、薬や精神病で苦しむってのはアメリカ人には受けがいいのだろうか?薬漬けの人も多いだろうし。

そんなこんなで、シーズン4は二倍速で流し見することになりそうだ。