糞の山の上ホテル

人生に絶望したコミュ障クズが、糞の山を築き上げるブログ

【Netflix】『暗黒と神秘の骨』シーズン1の感想(若干ネタばれあり)

Netflixの新作オリジナルシリーズである「暗黒と神秘の骨(以下、S&B)」のシーズン1を見たのでその感想を書いてみた。 以下、若干のネタバレが含まれるので視聴予定の人は見てはいけない。


ファンタジーというと、ゲーム・オブ・スローンズ(GOT)のようなものを想像するが、本作の舞台は小型の銃火器蒸気機関車が既に発明された19世紀初頭の文明となっている。
恐らくメインターゲットは10代の若者であり、GOTとはそういう点でも異なっている。露骨な性描写はほぼなかった。(暴力描写は多いが)
しかし、複数の登場人物のストーリーが同時並行的に進み、最終的に統合される脚本スタイルは野心的であり、GOTを強く意識していると思われる。

先に言っておくと、筆者的には、どうにも、コレジャナイ感が強かった。
実力不足か予算不足か、GOTには遠く及ばない作品になったという印象。

良かった点

  • 圧倒的な予算による豪華な美術、VFX

イマイチだった点

  • 退屈なストーリー
  • 演技がイマイチ
  • 説明不足な点がチラホラ
  • 題名がダサい

総評

なんとか見れるけど、キッズやティーン向けの作品
原作が好きならいいんじゃないだろうか。

以下でもう少し詳しく説明する。


1. 圧倒的な予算による豪華な美術、VFX

結局これに尽きる。
ネットフリックスのシリーズはいつも潤沢な予算があるおかげか、美術が異常に凝っている。
クイーンズギャンビットでも、時代に合わせた小物をきっちり用意していたが、S&Bでもそれが活かされていたと思う。
物語の世界に合わせた書籍、衣装やセットは素晴らしかった。

VFXも惜しみなく使われており、潤沢な予算がうかがわれた。
しかし、物語のキーとなる重要な生物のモデリングが野暮ったかったり、戦闘シーンでチープさを感じるシーンもあった。
予算はあるものの、詰め切れてない印象が残った。

とにかく遅い展開

まぁ、トレーラーを見ると大体どういうストーリーかは想像つくし、ほんとにその通りに進むので、序盤はマジで退屈だ。
アリーナが実は魔法が使える⇒王宮に連れてかれて魔法の訓練を受ける⇒自由に魔法が使えるようになる、というところでようやくストーリーが動きだすのだが、すでにこの時点でシリーズの半分を費やしてしまっている。
それを補うために、カズやマルのストーリーも並行して進むのだが、メインのストーリーがつまらなさすぎる。
アリーナとマルの幼少期の回想もちょいちょい挟み込まれ、主人公の内面を掘り下げようとするが『見た目がシュー人っぽくて、若いころから差別を受け疎外感を感じて生きてきたけど、マルだけはずっと一緒でした~。イェイ✌』というだけで正直あんまり深くない。
この程度の内容に結構な時間を割く必要があったのだろうか。ブレイキング・バッドの過去回想みたいに、軽くにおわす程度でよかったんじゃないか。
ティーン向けなので、その辺はあからさまに描きたかったのかもしれない。

演技がイマイチ

若いキャストが多いせいか、少し青臭い演技が多かったように感じる。
セリフもちょっと不自然な感じで、やはりティーン向けという印象が強い。

説明不足だった点

色々あるが、代表的には以下の二点

地理関係

S&Bでは地理に関する説明が少なく、ラブカはどの程度広い国なのか、ほかにどんな国があって、どういう風に国境に接しているのかという説明が全くない。
もちろん、登場人物たちがいきなり世界地図を広げてあれこれ話をし始めるのは不自然すぎるのでやめてほしいが、もう少し自然に説明ができなかったのか。
GOTはオープニングを上手いこと使って、世界の地理や状況を描写していたが、あれは本当に素晴らしかった。

敵国の魔女狩り部隊が神出鬼没し、ラブカ国内?で交戦になる描写が何回かあった。
普通に考えたら、敵国の部隊が国境を越えてあちこちに現れるってやばいわけだが、地理関係をはっきりと説明しないことで、このヤバさを誤魔化したのかもしれない。
重要人物(主人公アリーナ)を運ぶ最中にも襲撃に会うわけだが、これも普通に考えるとヤバい。
自国の道で安全が確保されてなくて、重要人物の移送もできないって、どういうことだ????
内通者の手引きとかいろいろあったのかもしれない。
(そういう説明は一切なく、「遠くからでも光が見えた」とかガバい説明しかなかったのも気になった。いろいろ詰めていくとマジでガバい。)

地理関係がよくわからないから、世界をうまく想像できないし、いまいち状況が把握しにくいのは非常につらかった。
※一応原作からの地図はあった。↓
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グリーシャについて

グリーシャという、いわゆる魔法使いが出てくるのだが、その起源などについては軽くしか触れられなかった。
グリーシャたちが使う魔法は、微小科学という科学の一種のようで、おそらく物語の重要な要素と思われるのだが、詳しい背景については語られない。
そもそも科学って属人性を排して、だれでも再現性をもって同じ結果を担保できるものを指すと思うが、グリーシャは生まれつきっぽい。
グリーシャと科学って真っ向から相反するように見えるが、これは次シーズン以降で掘り下げがあると期待したい。


蛇足だが、本国アメリカでは概ね肯定的な評価のようだ。 www.rottentomatoes.com www.imdb.com